SL機関車トーマス号で人気の静岡県を走る大井川鉄道ですが、その沿線沿いには多くの秘境駅が存在します。
その1つが前回の記事で紹介した湖上にある奥大井湖上駅です。
今回は奥大井湖上駅以外の秘境駅について、触れていきたいと思います。
大井川鉄道の概要
大井川鉄道は金谷駅から千頭駅までの本線と、千頭駅から井川駅までの井川線の2路線が運行されています。
本線は電車が走り、非電化線井川線にはトロッコ列車のようなアプト式の列車が走っています。
本線の電車はかつて大手私鉄で走っていた電車を購入・又は譲渡されたものを使っているため、恐らく年配の方ほど懐かしく感じることだと思います。
大井川鉄道乗車レポート
大井川鉄道の出発地点は金谷駅。
JRの駅とほぼつながっていて、徒歩1分~2分で乗り換え可能です。
通常料金とフリー切符
大井川鉄道の運賃は、本線の終点である千頭駅までが片道1810円、井川線の終点までだと3130円もかかります。
トーマス号などSL急行列車に乗車する場合は、通常料金にプラスして800円必要となります。
SuicaなどのICカードは、大井川鉄道では利用出来ません。
そのため、金谷駅や千頭駅、井川駅など有人駅から乗車する場合は、駅で切符を購入する必要があります。
無人駅から乗車した場合は、乗車してから車掌さんに運賃を支払う形になります。
ローカル鉄道にはよくありますが、大井川鉄道にも「大井川周遊きっぷ」と呼ばれる1日乗り放題のフリー乗車券があります。
4400円で大井川鉄道が乗り放題なのと、沿線の路線バスが乗り放題なので、往復したり、途中下車を繰り返すならば、この大井川周遊きっぷを購入しましょう。
16000系で千頭駅へ
金谷駅にやってきた元近鉄の特急列車である16000系に乗車して、千頭駅に向かいました。
昔の特急列車というだけあって16000系の車内は、下のように全て2列の座席となっています。
千頭駅で井川線に乗り換え
金谷駅から約1時間、大井川本線の終点である千頭駅に到着しました。
千頭駅は大井川鉄道の駅の中で1番大きな駅になります。
ここでトロッコ列車風の井川線のアプト式列車に乗り換えます。
井川線の車内は、下のように2列と1列の座席に分かれています。
そして上の写真をみてもらえれば分かるように通常の列車と比較して、とても小さい列車になっています。
これは、昔はダム建設に利用された線路をそのまま客線として利用しているためだそうです。
吊り橋が有名
大井川鉄道井川線が走る奥大井は吊り橋が有名です。
千頭駅を出てすぐ、列車から見えるのが両国吊橋になります。
それ以外にも数多くの吊り橋があるので、吊り橋好きな人はきっと奥大井は楽しめると思います。
秘境駅ランキング
井川線の各駅は、その殆どが秘境駅です。
その中でも秘境駅の名付け親である牛山隆信氏のサイトで公開されている秘境駅ランキングのTOP50にランクインしているのが、土本駅と川根小山駅に、湖上にある駅として人気の奥大井湖上駅です。
土本駅
土本駅は秘境駅ランキングで第19位にランクインしているのですが、個人的にはその隣駅である川根小山駅の方が秘境駅感はあります。
土本駅はすぐ近くに道路や家があるためです。
川根小山駅
川根小山駅は山林の中にあり、近くに人家はないのですが、駅には屋根付きの駐輪場があるのがなんともシュールです。
利用者がいるのでしょうか?
アプトいちしろ駅(旧川根市代駅)
次の秘境駅は、ランキング第67位のアプトいちしろ駅です。
今はダムによって水没してしまった旧線が運行されていた時は川根市代駅と呼ばれていました。
アプトいちしろ駅には、アプト式機関車の留置線と検修設備があり、井川駅行き列車ではここで機関車との連結が行われます。
大井川鉄道の水没記念乗車券から、アプトいちしろ駅と川根市代駅の様子を撮影した貴重な当時の写真を下記に掲載しておきます。
奥大井湖上駅
次は、秘境駅ランキング第37位でいまや井川線で最も人気があるのではないかと思われる奥大井湖上駅です。
奥大井湖上駅で途中下車して、1時間ほど散策して、その絶景を楽しんだ後、後の列車に乗車して井川駅へ向かいます。
秘境駅ランキング第二位の尾盛駅
次の秘境駅は、秘境駅ランキングで北海道室蘭本線の小幌駅に次いで第二位にランキングされている尾盛駅です。
駅周辺に人家はまったく無く、駅に通じる公道もないため当然車で来ることもできません。
これは先程紹介した小幌駅と同じです。
駅周辺にある建物といえば、駅の看板近くにある保線小屋と、朽ちた倉庫である。
また、登山道もあるわけでなく、徒歩でこの駅にたどり着くことも非常に困難となっています。
かなり以前に自治体によって、接岨峡温泉駅からの尾盛駅までの遊歩道を整備する計画があったようで、途中まで整備されていたのですが、途中で計画は中止。
今でもその時整備された吊り橋など尾盛駅へ向かう列車の車窓から確認する事が出来ます。
勇敢な探検者によって、尾盛駅まで徒歩で到達した人が何人かいて、特に下記ブログでは、その廃道となった遊歩道を詳細に記録しているので、尾盛駅行かれる方は是非一読されるのをお勧めします。
秘境度満点の尾盛駅を後にし、大井川鉄道最後の秘境駅「閑蔵駅」を経由して終点井川駅へ向かいます。
尾盛駅と閑蔵駅との間には、川底からの高さが70.8mもある鉄道では日本一の高さを誇る「関の沢橋梁」を通過するのですが、観光客のためにこの橋の上で徐行運転をしてくれるのですが、真下を見るとめっちゃ怖いです。
でも、この橋からの景色はとても良かったです。
関の沢橋梁を通過して、トンネルを抜けると秘境駅ランキング第55位の閑蔵駅に到着。
駅周辺には何もないですが、接岨峡温泉駅駅から道路があり、路線バスのバス停もあるので列車以外で来ることも可能な駅です。
終点井川駅
千頭駅から約1時間、やっと終点の井川駅に到着です。
下の写真を見ると分かりますが、この井川駅は終着駅なのですが、右側に線路が続いていて、その先にはトンネルがあります。
これは昔利用されていた貨物列車専用の堂平駅へと向かう線路なんだそうです。
Wikipediaによると、堂平駅は書類上はまだ廃駅にはなっていないそうですが、この線路は使われていないため事実上は廃駅という状態です。
廃線になっていないためか、Googleマップ上でも井川駅の先も大井川鉄道井川線として線路が示されています。
一応終点ということもあって、井川駅は有人駅となっています。
駅の近くには小じんまりとですが、売店なんかもあります。
井川駅から徒歩5分ほどのところには井川ダムと井川湖があり、天候が良ければとてもキレイな景色になります。
大井川鉄道に乗車して感じたこと
大井川鉄道の井川線には数多くの秘境駅があり、秘境駅マニアや鉄道マニアの方であれば一度は訪れたいところだと思います。
今回初めて大井川鉄道を利用して、井川線沿いは山沿いを進んでいくので普段は出来ない体験や景色を楽しむことが出来て、非常に満足度が高い鉄道旅となりました。
大井川鉄道はSL人気に陰りもあり、経営状況が思わしくないようですが、この雄大な自然を活用して、収入が伸びてくれればなと思いました。