父島と母島を中心に形成される小笠原諸島。
世界遺産に登録されている自然豊かな島々は観光スポットとしても人気で、個人的にも旅行で訪れたい離島No1なのですが、本土から1000km以上離れた小笠原諸島へ行くには、現状片道だけで26時間前後と1日以上かかる船でしか行くことが出来ません。
そのため観光で訪れようにも、往復の移動時間や船の運行時間の関係から少なくとも1週間は仕事を休めるような人でないと行くことが難しい状態です。
そんな交通の不便が指摘されている小笠原諸島ですが、ついに飛行機で行くことが出来るようになるかもしれません。
東京都が空港建設に向けて調査を開始
東京都は、2018年度予算案に、小笠原諸島への飛行機選定や滑走路などの調査費1億2千万円を計上する方針を固めて、2017年度に続いて継続調査を行うことになりそうです。
小笠原空港建設に向けた過去
ただ、小笠原空港建設に向けた調査が行われるからといって、直ぐに小笠原諸島に空港や飛行場が建設されることが決まったわけではありません。
小笠原諸島への飛行場建設はこれまでにも度重なる検討が行われてきましたが、それらは今に至るまで実現されていないからです。
これまでの経緯を確認しておくと、平成7年には父島のすぐ北に位置する無人島の兄島に空港建設することが決定されましたが、環境保護の観点などから平成13年にこの空港建設計画は撤回されています。
その後も東京都と小笠原村とで航空路を設けることに関する協議会などが発足してきましたが、具体的な進展は無い状態です。
日本への返還50周年を機に計画を縮小して実現へ
小笠原諸島は2018年でアメリカから日本へ返還されて50周年となります。
これを機に改めて空港建設に向けて動き出したことになります。
過去の計画では、ジェット機も離着陸できる1200メートルの滑走路を検討していましたが、今回はプロペラ機を想定した数百メートルの滑走路に縮小して検討を行うことで、早期実現を目指すようです。
空港建設予定地
現在小笠原諸島の空港建設検討地とされているのが、父島の州崎地区にある旧海軍の州崎飛行場跡地がある場所です。
小笠原諸島は世界遺産に認定されているため空港建設が困難とされていましたが、この建設検討地は世界遺産の範囲外となっています。
世界遺産の範囲外とはいっても、当然ですが自然や環境への配慮が必要で、キレイな海も近くにありますから、入念な調査が必要となります。
実現した場合の航路と所要時間
さて、小笠原空港なり小笠原飛行場が実現した場合の航路はどうなるでしょうか?
候補としては、調布飛行場と八丈島空港になるかと思います。
調布飛行場からは現状、伊豆諸島の大島や新島、三宅島に神津島へと定期航空便が飛んでいて、八丈島空港へは羽田空港からジェット機で約1時間の定期便として飛んでいます。
八丈島空港は、伊豆諸島におけるハブ空港としての役割もあり、東邦航空による日本唯一のヘリコプターによる定期航空便が青ヶ島や御蔵島など伊豆諸島へと飛んでいます。
東京都の資料によると、現状運行に用いられる飛行機は定員50人程度のプロペラ機ということですが、選定する飛行機次第ですが、航続距離的には調布飛行場から父島までの約1000kmは問題ないと思います。
対して、八丈島から父島までの距離は約700kmとなっています。
飛行時間でいうと、プロペラ機の運行速度次第ですが、時速500kmとすると本土から小笠原諸島へ直通で約2時間で結ばれることになります。
現在は船で26時間近くかかる事を考えれば大幅な時間短縮になるため、小笠原諸島に住んでいる方々にとっては、大幅な利便性向上に繋がります。
特に、救急医療などが必要な場合に本土へと搬送できるようになるメリットは計り知れません。
交通が不便なゆえに観光地として人気な面もあるかもしれませんが、交通の便が改善されれば観光客は大幅な増加が見込めます。
そして、地元の方々にとっても郵便物の配送短縮など物流面でも恩恵が大きいです。
今後計画がどう進捗していくのか注目です。